泡盛のクセはどこから来るのか
泡盛はタイ米(インディカ米)を原料に、黒麹で米すべてを麹にする「全麹仕込み」で仕込み、単式蒸留器で蒸留します。泡盛らしい香りやコクは、この原料と麹、そして蒸留の仕方から出ます。泡盛の成り立ちと古酒については、過去の記事でも触れていますので是非。
伝統的な泡盛は「常圧蒸留」で造られます。もろみに熱を加えて、そのまま蒸気を集める方法です。沖縄県酒造組合によると、この方法だと個性やコクの素になる高沸点の成分まで蒸気に乗り、加熱による「お焦げ臭」のもとになる成分も出るとのことで、泡盛のクセと言われるものの多くはコレだと思われます。
意外に種類のある「飲みやすい」の作り方
クセを抑える方法について調べてみたら、今回の5本だけでも少なくとも4通りありました。
蒸留を変える。 蒸留釜の中の気圧を下げると、もろみは40〜50℃ほどで沸騰します。これが「減圧蒸留」です。高沸点の成分が気化しにくく、焦げ臭のもとも減るので、クセが少なく軽い口当たりになり、県酒造組合では若いバナナのようなフルーティーな香りが前に出ると説明しています。蒸留器そのものを独自に作って酒質を変えた銘柄もあります。
濾過を変える。 蒸留したての泡盛には、コクや古酒などの香りのもとになる高級脂肪酸などが含まれます。原酒を冷やすと脂分が固まって出てくるので、そこで濾すと余分な成分が取れやすくなり、すぐ飲む泡盛は冷却濾過、古酒にする泡盛は常温で軽く濾過するのが一般的です。
酵母を変え、古酒を混ぜる。 泡盛は通常、泡盛用の酵母で仕込みます。これを清酒酵母に替えると香りの出方が変わります。そこへ泡盛酵母で造った古酒を混ぜ、泡盛らしさを足している銘柄もあります。
度数を下げる。 泡盛は30度前後の商品が多いですが、20度や25度で出ている商品もあります。
なので、もし飲みやすい泡盛を探すのであれば、こういった条件から探してみると出逢える確率が上ると思います。ちなみにボクがそうでした(笑)
今回選んだ「飲みやすい泡盛5選」がコチラ
さあ、それではいよいよボクが飲みやすいと思った泡盛の紹介です。

味の方向性は、ボクの感想に各メーカー・県酒造組合の説明で補足し、作り方は各メーカーより公表されているのを調べて書きました。
| 銘柄 | 度数 | 味の方向 | 飲みやすさを作る主な要素 |
|---|---|---|---|
| 残波ホワイト(比嘉酒造) | 25度 | フルーティーな香り、透明感のあるスッキリとクセのない味わい | 独自に開発した蒸留器(方式は非公表) |
| 菊之露akari(菊之露酒造) | 25度 | 甘さを残した、爽やかで透明感のある味わい | 減圧蒸留+濾過 |
| 瑞泉 翔スーパーマイルド(瑞泉酒造) | 20度 | さわやかな香り、軽やかな飲み口 | 20度という度数(製法の公表なし) |
| 島唄 30度(まさひろ酒造) | 30度 | 清酒酵母由来の爽やかで華やかな香り、古酒のまろやかさ | 清酒酵母・減圧蒸留の泡盛に泡盛酵母の古酒をブレンド |
| 夢航海 30度(忠孝酒造) | 30度 | やわらかでソフトな香り、青リンゴのような香り | 忠孝酒造の説明は「新製法」 |
炭酸水で割る場合は、1:3にすると25度の泡盛は6度前後、30度の泡盛は7.5度前後になってちょうどいいかと思います。
5本を1本ずつチェック
残波ホワイト|飲み慣れない人のために蒸留器から開発されたお酒
沖縄本島中部の西側、まさに残波岬と人気のダイビングスポットが広がるが読谷村の酒造所「比嘉酒造」の「残波ホワイト」
1988年の発売で、「ザンシロ」の愛称でお馴染みですね。

比嘉酒造によると、女性や泡盛を飲み慣れていない人にも飲みやすい泡盛を作るというコンセプトから、試行錯誤を重ねて独自の蒸留器を開発し、その結果生まれたのが残波ホワイトとのこと。
味わいは「フルーティーな香りと透明感のあるスッキリとクセのない味わい」で、「泡盛特有の独特な香りもなく」とメーカー自身が書いています。
蒸留器の方式について、比嘉酒造は「独自の蒸留器」とだけ説明しています。減圧蒸留かどうかは公表されていません。
飲み方は、公式サイトではソーダやフルーツで割る飲み方、レモンやライムと合わせたカクテルを勧めています。県酒造組合の泡盛データベースではストレート、ロック、水割りが挙がっています。
✓実際に飲んでみた感想
ボクも元々このザンシロのやさしいフルーティさがすごく好きで、飲みやすいのはもちろんですが、夢航海好き…しかも「夢たん(夢航海の炭酸割り)」の酸味が特に好き、という方におすすめしたくなる味ですね。
香りの方向性はツンというよりフワッとした柔らかなフルーティさと酸味があり、25°という抑えめのアルコールも手伝ってカジュアルに飲めるテイストに仕上がっています。
菊之露akari|飲みやすさにこだわった減圧蒸留と濾過製法
「菊之露akari」は、芸能人がよく利用するリゾートで有名な宮古島にある菊之露酒造で作られている2023年6月発売のお酒です。

菊之露酒造にとって初めての減圧蒸留で、濾過にもこだわったと説明されています。
思わず飲みたくなるようなポップなakariの特設ページでは「従来の泡盛の香りを抑えるスッキリ製法」と書き、甘くフルーティーな香りは残したうえでクリアな味に仕上げたとしています。狙いは「泡盛好きの方はもちろん、初心者の方でも楽しみやすい泡盛」です。
メーカーが推している飲み方は炭酸割りで、名前は「aソーダ」とこれまたオシャレ。
発売当時には、沖縄県内のテレビCMをはじめ、各所で精力的なプロモーションがあったのを覚えています。
✓実際に飲んでみた感想
柑橘や青リンゴといったフルーティな香りを押し出すというよりは「スッキリ爽やか」な印象が強く、aソーダにしてみるとさらにスッキリ感がアップ。
レモンやシークワーサーも合いますが、ボクのおすすめは「ライム」で、ちょっと辛口のラムネのような飲みやすさに感じます。
また少しakariを濃い目に入れた水割りなどで、ゆっくり味わうように飲むと菊之露らしいホッコリした甘さも見つけることができるので、菊之露ファンにもぜひ飲んで頂きたいですね。
瑞泉 翔スーパーマイルド|20度という軽さでガブガブいける
那覇市は首里の住宅街に囲まれた風情たっぷりな瑞泉酒造の「翔スーパーマイルド」
同じ瑞泉酒造の「翔」とは異なるスーパーマイルドです。

県酒造組合の泡盛データベースでは、この商品を「泡盛入門版といえるライト感覚の20度の泡盛」と紹介しています。さわやかな香りと軽やかな飲み口で、「毎日の晩酌にぴったりな一升瓶」と説明されています。
✓実際に飲んでみた感想
「泡盛入門版といえるライト感覚の20度の泡盛」と紹介されてる通りです。
20°という軽さとサラッとしたのど越し、
瑞泉といえばキリッとした辛口の中に香ばしいナッツのような香り、最後にスッとした甘さの残る本格辛口泡盛といった印象ですが、穀物っぽい香ばしい香りと辛さをザックリ削って20度にした感じ…といったところかな?
なので「甘ったるい香りのしない超辛口の日本酒が好き」な人には、この「翔スーパーマイルド」をキンキンに冷やしてストレートで飲む瑞泉 翔スーパーマイルド 20度のもアリじゃないかな?って思います。
島唄 30度|清酒酵母と古酒の独自ブレンドによるスッキリ感
沖縄南部の漁港町・糸満市にあるまさひろ酒造の「島唄」
25度と30度とありますが、今回は飲みやすくもパンチの効いた古酒ブレンドの30度でレビューしていきたいと思います。

島唄30度は、清酒酵母を使って減圧蒸留した泡盛に、泡盛酵母で造った古酒をブレンドしています。まさひろ酒造の説明では「泡盛では初めて清酒酵母を使って製造した泡盛に泡盛酵母の古酒をブレンド」です。香りは清酒酵母由来の「スッキリ爽やかかつ華やかな香り」、そこに古酒による泡盛らしいまろやかさ。とのこと。
✓実際に飲んでみた感想
基本的には、このラインナップにあるように「飲みやすい泡盛」です。
他との違いは何といっても「古酒ブレンド」なんですが、古酒ブレンドになるとけっこう泡盛独特のコクと甘み、泡盛が苦手という人が感じる穀物の香りがするのですが、この島唄は清酒酵母仕込みの泡盛を独自ブレンドしているため古酒の重み部分をカットされた爽やかな飲み口に仕上がっているのが特徴。
ボクはこの島唄を普段飲みにしています。
その理由や、関連情報については別記事に詳しくまとめていますので、ぜひそちらもご参照ください。
夢航海 30度|青りんごの香りでお馴染みの飲みやすい泡盛の定番
那覇のすぐ南側にある豊見城市(とみぐすくし)にある忠孝酒造の「夢航海」
県酒造組合のデータベースでは「やわらかでソフトな香りと軽快で爽やかな口当たり」、忠孝酒造の公式オンラインショップでは「新製法により、青リンゴのようなフルーティーな香り」で「泡盛初心者の方でも楽しめる」と説明されています。

炭酸割りには「ゆめたん」という呼び名があります。2026年に入ってからの話題や、40度のPREMIUM夢航海との違いは個別記事に書いています。
✓実際に飲んでみた感想
飲みやすい泡盛といえば夢航海。
他との大きな違いは、本来の泡盛っぽいコクやクセを徹底的に削ぎ落し、ツンとした果実のような香りと酸味をできるだけ残そうとしているところでしょうね。
もし夢航海のこの部分が好きという方には、最近ちょっとしたブームになった「PREMIUM夢航海40度」が間違いなくおすすめです。夢タンにしたときの香りの強さと飲みやすさ(しかも飲みごたえもあり)は40度の泡盛とは思えないと感じるはずですよ。
5本を飲み比べてみた「まとめ」
いやあ…どれもホントに美味しかったですね。
これからどんどんこういった、飲みやすい泡盛が増えていくのかな?って思いました。
今回飲んでみた5本を、あえて方向性で分けると、
- 夢航海・残波白が「フルーティ」
- akari・翔スーパーマイルドが「スッキリ・ゴクゴク」
- 島唄が「サッパリとしたコクとキレ」
といった感じだったかな?
ぶっちゃけ、ここは飲む人によって大きく意見が割れそうな気もしますが、ボクの意見としてはこんな感じです。









